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 ◎ CUNNメール通信 ◎ No.111 2010年2月16日
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 1.外国人研修生問題で熊本地裁判決
 一次受け入れ機関の責任を認定//「劣悪労働への抑止」と期待
 100216・ 「連合通信・隔日版」

  外国人研修生・技能実習生制度をめぐる画期的な判決が一月、熊本地裁で言い渡されました。受け入れ企業を指導する協同組合など「第一次受け入れ機関」の賠償責任を初めて認定したものです。外国人研修生問題弁護士連絡会の指宿昭一共同代表は 劣悪な働かせ方に対する「一定の抑止になる」と評価しています。
  外国人研修生・技能実習生制度は、途上国への技術移転を目的とした制度で、研修生(一年)、技能実習生(二年)とあわせて最長三年間滞在できます。しかし、研修生期間は法的に労働者として扱われないほか、研修生の多くが母国の送り出し機関に多額の借金をして来日することから、権利主張が困難な安い労働力として酷使されているのが実情です。
  特に問題なのが、ほとんどのケースを占める「団体監理型」という受け入れシステムです。「出入国管理及び難民認定法」に基づく「第一次受け入れ機関」(協同組合の形式をとることが多い)が日本語研修や、不法就労の排除、監査と報告などの指導を行うことにより、ノウハウを持たない中小零細企業が研修生を受け入れることができるという仕組みです。実際には、第一次受け入れ機関が違法を指南する問題事例が多いと指摘されています。

●やりたい放題の抑止に

  裁判は、熊本県内で、ワコール製品の縫製などを行っていた工場で約一年半働いた中国人女性四人が、縫製会社や第一次受け入れ機関である協同組合などを訴えていたものです。
  女性らは〇六年に来日し、一年間の研修生期間を経た翌年の八月、縫製会社から廃業を告げられました。その後、熊本県ローカルユニオンに加入し、未払い賃金や慰謝料の支払いを求めていました。判決によると、「研修生」期間中の女性らの年間労働時間数は四千四百~五千三百時間。一方で、報酬は年百十万~百三十万円しか支払われていませんでした。
  厳しいノルマを課せられ深夜まで作業に従事していた「研修生」期間について、判決は「研修とは名ばかり」と指摘し、女性らが労働基準法、最低賃金法が適用される労働者であると認定。地域別最低賃金(六百十二円)に基づく未払い賃金の支払いを命じました。
  強制貯金やパスポートの取り上げに対しても、判決は不法行為と判断。協同組合が十分な監査を行わず、残業代が支払われていなかったことについても「問題がない」と入管局に報告し続けたこと、パスポート取り上げについても事実に反する報告を行っていたことなどを重くみて、「賠償責任を認めるのが相当」とし、慰謝料支払いを命じています。
  これまで、第一次受け入れ機関の責任はあいまいにされ、違法根絶の障害となってきたといいます。指宿共同代表は「やりたい放題の受け入れ機関に対する一定の抑止になる」と評価しています。
  実際に裁判で勝っても「受け入れ企業に支払い能力のない場合が多く」(同代表)、第一次受け入れ機関に賠償責任を課したことは、研修・実習生の救済にとっても朗報。
  七月には、現行の研修制度を改め一年目から労働者として扱う改正入管法が施行されます。判決は施行を前に、従来の労働力受け入れ政策の転換を迫るもの、と支援者らは意義を強調しています。
 

●奴隷のような制度やめて

  原告の元中国人技能実習生、劉君さん(25)と谷美娟(22)さんは二月九日、入国管理局長に面会し、「私たちを奴隷のように働かせたこの制度は、すぐにでもやめてほしい」と訴える法務大臣あての手紙を手渡しました。

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